師僧である辨徳阿闍梨は袈裟にこだわりをもっておりました。
ベンモウもその遺志をしっかり受け継ぎました。
かつて便壇灌頂の儀式のために作った三衣は訶梨勒(カリロク)で絹糸から先染めしたものを織り上げたものです。
訶梨勒は別名ミロバラン、インド原産の落葉樹の実です。
正倉院御物に一つ残されているようですが、薬物として鑑真和上が伝えたといわれております。
本来、糞掃衣としての袈裟とはこのようになるのかと想像を膨らませて法衣店に縫っていただきました。
三衣の一つである大衣の二十五条は戒師の証としてベンモウが着け、七条は雄大に着けさせました。