日本に仏教が初めて伝来したのは飛鳥時代であり、以来、日本の仏教には多くの宗派が成立し、それぞれ独自の教えを持っています。
明治維新以前に成立していた「伝統仏教」の中でも、代表的な13宗派について簡単に解説します。
〇南都六宗(法相宗、華厳宗、律宗)
南都六宗とは、奈良時代に平城京を中心に栄えた6つの宗派を指します。三論宗、成実宗、法相宗、倶舎宗、華厳宗、律宗の6宗派がありましたが、現在では法相宗、華厳宗、律宗が残っています。
•法相宗:玄奘三蔵の弟子である慈恩大師(窺基)を開祖とし、道昭さんが日本に伝えました。興福寺や薬師寺が有名です。
•華厳宗:中国の杜順さんを開祖とし、良弁さんが日本にもたらしました。東大寺を本山としています。
•律宗:中国の法聡さんを開祖とし、鑑真和上が日本に伝えました。唐招提寺が本山で、戒律の研究を重視します。
〇天台宗と真言宗
平安時代の仏教の代表は天台宗と真言宗です。
•天台宗:最澄さんが唐で修行し、比叡山延暦寺を建てて興しました。円、禅、密、戒を融合した新しい教えを広めました。
•真言宗:空海さんが唐で密教を学び、帰国後に高野山で教えを広めました。大日経や金剛頂経を体系化し、庶民教育や土木事業にも尽力しました。
〇浄土系(融通念仏宗、浄土宗、浄土真宗、時宗)
平安時代末期から鎌倉時代にかけて仏教の変革が起き、民衆救済のための宗教が重視されました。
•融通念仏宗:良忍さんを開祖とし、集団で念仏を称える教えを広めました。
•浄土宗:法然さんが専修念仏を提唱し、念仏を唱えることで極楽往生が叶うとしました。
•浄土真宗:法然さんの弟子である親鸞さんが絶対他力を教えの中心に据え、念仏を唱えて阿弥陀如来の本願に全てを委ねる教えを広めました。
•時宗:一遍さんが開祖で、念仏を唱えながら全国を回り布教しました。
〇日蓮宗
・日蓮さんが法華経を教えの中心に据え、「南無妙法蓮華経」と題目を唱えることで理想の世界が訪れるとし、積極的に布教を行いました。
〇禅宗(臨済宗、曹洞宗、黄檗宗)
禅宗は坐禅を修行の根本に据え、悟りを目指す宗派です。
•臨済宗:栄西さんが南宋で臨済禅を学び、建仁寺を本山として興しました。
•曹洞宗:道元さんが南宋で曹洞禅を学び、越前の永平寺を建立しました。坐禅を重視する黙照禅を修行の根幹とします。
•黄檗宗:中国の隠元さんが日本に渡り、萬福寺を建立し黄檗宗を興しました。阿弥陀信仰と融合した教えを広めました。
これらの宗派はそれぞれ独自の教えや修行方法を持ち、日本の仏教文化に大きな影響を与えてきました。
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