真言宗の宗祖弘法大師空海上人は、著作の中で「如実知自心」を大切にするよう教えています。
「如実」とは物事のありのままの姿を指し、「知自心」とは自分の心をしっかりと見つめ、探ることを意味します。
私たちはしばしば、周囲の影響によって自分を見失いがちです。例えば、食事中に電話が鳴り、その内容に心を乱されることがあります。また、買い物中に心を奪われる商品を見つけ、買うべきかどうかで悩み続け、一日、あるいは何日も思い悩むこともあるでしょう。
私たちの心には常に迷いや悩みが生じますが、そうしたときこそ、自分自身の心をしっかりと見つめ直すことが大切です。これがまさに「諦める」ということです。仏教における「諦める」とは、物事を明らかにし、自分自身を見つめ直すことを意味します。
私たちの心を揺さぶる情報の中には、知りたくない、あるいは知る必要のないものも多く含まれています。そのため、「自分に本当に必要な情報かどうか」を基準にして情報を取捨選択し、不要なものは切り捨てる。
この考え方は、日常生活において自分の心を保つための大切な指針となります。