真言宗では四度加行(しどけぎょう)という修行があります。一定期間、お寺に籠り、初心の僧侶として身支度や日常作法からお経や真言など徹底的に叩き込まれます。導師としてお勤めする時の作法もこの時が基本でありながら最も大切な時です。
真言宗は18の本山があり、12の宗派に分かれています。その他、大きく分かれた二つの主要な流派から分派して主要な流派は36流。さらに細かく数えるとキリがありませんね。
まるで伝言ゲームのように伝わった作法の違いはその時に影響力のあったお坊さんの行動や言い習わしが伝統になっていきました。
行動や言い習わしが伝統となっていく過程で、作法の順番が記された文書の重要な箇所には「ロイ」という言葉が記されています。これは、口伝が原則であることを示すもので、師から弟子への直接の伝承を大切にするためです。作法の細かな部分については文書化をあえて避け、口頭でのみ伝えることで、単に秘密を守るためではなく、師から弟子へ、そしてその弟子がさらに次の世代に引き継ぐという、伝統の連続性を重んじているのです。